お正月特番 「食道楽下手物話」味噌汁トッピングスペシャル
この春お薦めのトッピング素材五品目!至急お気に入りに追加せよ!

ご存知の方も多いかと思いますが、私は味噌汁に色々な具を足して食べるのが好きです。
(道楽徒然草 014 食道楽下手物話-くいどうらくげてものばなし- 味噌汁トッピング 参照)
大方が「気味が悪い」と敬遠されますが、定番に安穏としがちな家庭料理も視点を変えると、まだまだ開拓
の可能性を秘めています。これは焼き物にも通じることですが、伝統の様式を尊重しつつ革新を望むには
少々の冒険は恐るるに足るものではりません。以下の素材は長年の研究の末に、献立として自信を持って
お薦めできるものです。ひとつ、視点を柔軟にその味と栄養価を想像してみてください。

<写真技術の未熟さからあまり美味しそうに見えないですが、皆さんの豊かな想像力でカバーしてください。>



 素材その1
 トマト

 大根の千切りに合わせてみました。
 トマトは、暖かいものがとても美味しいのをご存知ですか?
 ミネストローネや、パスタのトマトソースなどは本当に美味しい
 ですよね。そんな発想から味噌汁に応用してみたのですが、
 これが抜群にうまいんです。ジャガイモや、海藻類などとも
 相性が良いですよ。また、ミニトマトも美味しいですが、少し
 甘みが強いので、好みが分かれそうですね。


 素材その2 コロッケ

 もやしの味噌汁にトッピングしてみました。
 立ち食い蕎麦のコロッケソバをヒントにしました。
 揚げ物は少し味噌汁が脂っこくなるという弱点がありますが、
 コッテリしたものが食べたい日には良いでしょう。もやしや
 葱、ホールコーン、キャベツなんかは良いマッチングでしょう。
 まだ試していませんがバターを入れても旨いんじゃあないで
 しょうか。味噌バターって感じでね。


 素材その3 たこ焼き

 油揚げと合わせて、紅生姜を彩りにのせてみました。
 これは意外な発見でした。おでんの練り物や、お麩のような
 感覚で食べると違和感がありません。大阪にはダシで頂く
 たこ焼きがあると聞きますが、正にそんな感覚です。
 ただし、ソースはかけないほうが良いでしょう。マヨネーズも
 ソースも試しましたが、味噌汁は濁ってしまって美しくないし
 味が互いに強すぎて喧嘩をしてしまうようです。 


 素材その4 鉄火巻き

 豆腐と細葱に合わせてみました。
 これは中々受け入れがたいものかと思いますが、海苔巻きの
 のりの風味とほどよい酸味がとても美味しいんです。すっぱい
 味噌汁というとつい”腐敗”のイメージに直結しちゃいますが、
 ラーメンにお酢を入れて食べる感覚でご想像下さい。
 また、きりたんぽ鍋にも似ていますね。崩れそうで崩れない
 ジューシーな鉄火巻きは意外な旨さですよ。


 素材その5 鯛のお刺身

 ホウレン草とアサリに合わせてみました。
 魚の味噌汁は、海沿いの地方に多くありますが、たいがいは
 火を通してありますよね。お勧めは生の刺身を熱い味噌汁に
 入れて、少し色が変わったところで頂くしゃぶしゃぶ風です。
 特に鯛のお刺身はとても品の良い味です。夕飯の残りを捨て
 ずにとっておいて、翌朝のご飯を豊かにいたしましょう。
 鯛以外にも、鮪、蛸、烏賊などがお勧めです。


さてさて、気持ちが悪くなってしまった方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。

少々イメージの手助けをいたしましょう。初めて”たらこスパゲティー”が世にお目見えしたときのことを
思い出してみて下さい。その他にも”アボガドのお寿司”や”ツナマヨネーズのおにぎり”などなど、登場
時にはどれも怪訝に思われ、敬遠されたものばかりですが今や人気メニューとなっています。

上に挙げたものはどれも、はじめは残り物がもったいなくて試してみたものが多いんです。飽食の時代
といわれて久しい昨今、食の事情も随分さまがわりしたように思います。「衣食足りて礼節を知る・・・」と
いいますが、今の日本人は本当に豊かさの意味を解しているのでしょうか・・・「物足りて心貧しき」と
なっていないでしょうか・・・下手物食いは、決して誉められる食べ方とは思いませんが、少しのヒントが
ありはしないか?と考える今日この頃です。

上記の5品目は冗談でなく、良く食べています。一見、奇を衒ったように見えるかもしれませんが、
どれも自信を持ってお勧めできるものばかりを厳選吟味した上で、掲載いたしました。
だまされたと思って一度お試し下さい。目からウロコが落ちること請け合いです。

平成16年1月7日 七草の日に 若林和正



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